【第5回CSRオープンセミナー詳細】戦略的CSRマネジメントの実践

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【第5回CSRオープンセミナー詳細】戦略的CSRマネジメントの実践

第5回 ダイヤル・サービス CSRオープンセミナー
「戦略的 CSR マネジメントの実践」
〜マルチステークホルダーとの共用と持続可能な成長〜

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「“ 戦略的CSR マネジメント”
  その実践と日本企業の重点課題」


講師 駿河台大学・同大学院教授 経営学博士  水尾順一 氏

CSRの定義

 CSRとは、企業が社会にどのような影響を与えるか、そ してどのようなメリットを差し伸べていくかということも含め、企業だけでなく社会全般の発展を保護し促進することを大きな目的としています。 その上で、まずは不祥事の発生を未然に防ぐ、そして社会に積極的に貢献する、そのために企業の内外に働きかける制度的義務と責任が CSRの本質であると定義します。

具体的には、CSRを考えていくうえで、二つの枠組みを提起したいと思います。 第一は、私たち企業が働きかける「対象」です。 企業の社員、株主、そして、お客様、地域社会、あるいは広くは環境も含めた企業の外に対する責任という企業内外への2つのベクトルがあります。 これは、言葉を変えるとステークホルダーです。

そしてもう一つの枠組みは取り組む「領域」です。 ネガティブとポジティブという表現をとれば、まさに、不祥事を予防する=ネガティブな問題をなくすという予防倫理の領域、それからポジティブに社会に働きかけていく=貢献をするといったような積極倫理という領域です。 このように、2つの対象と領域ということを頭におき、4つの責任ということ
を考えてみました。

CSRの基本コンセプト

戦略的CSR のベースとなる基本コンセプトの第一は、「法的責任」です。 コンプライアンスの問題、法律を守るということは企業の最低限の責任です。 そしてその上で、従業員に給料を払う、そして株主に配当を払う、さらに地域社会には税金を払うということを通して、社会の福祉に貢献をしていきます。

これはまさに企業が果たすべき、「経済的責任」です。 こういった事柄というのは当然のことながらきちんと守らなくてはなりません。 その意味で、特に法的責任、経済的責任という部分にも予防倫理という概念はあります。 これらが、ク リアされた段階で、今度は「倫理的責任」です。

トヨタは、車でプリウスという環境に配慮した車を作っています。 これはまさにビジネスと一体になった一つの業の倫理的責任を果たすということにも繋がっています。 「社会貢献的責任」もあります。しかし、組織の資源は限られています。 人、もの、金、情報、文化です。 その配分を考えることは、まさにその企業の果たすべき領域の中で戦略的
要素が強くなるということだと思います。 これらは、積極倫理という条件にも繋がってきます。

今のことを、もう少し視点を変えてみてみたいと思います。 もし企業が不祥事を起こした、そして社外に迷惑をかけたら、消費者はそれに対して不満を持ちます。 そのことがきちんとなっていれば、不満は解消されます。 つまりそれは、予防倫理という概念が明確になればこの不満解消ということに繋がってきます。 ただし、これは不満足の解消というレベルであって、すばらしい企業だなとは、誰も思いません。 つまり、この予防倫理とは不満足の解消の
レベルでの目的が達成されるということだと思います。

一方、社会に積極的に貢献していくと、社会からみるとすばらしい企業だなというような満足を感じます。 つまりそれは、動機付け要因です。 積極倫理の項目というのはまさに動機付け要因に繋がります。  法的責任は、当然果たさなければいけない組織の義務です。 まず法治国家である以上、この法的責任、コ ンプライアンスが機能した上で社会貢献の責任も生きてくると思います。

コンプライアンスにおける日本企業の今後の課題

多くの企業がコンプライアンスという領域では、行動基準、企業行動原則、企業倫理規定など作っています。
東証の 1 部上場企業では約 97%が現在もうすでに策定済み、あるいは現在策定中だといわれています。
それから、組織を作る、担当の推進組織を作る、教育啓発活動を行う、しかし、その後何をどうやって、コ ンプライアンスを浸透定着していかなければいけないか。 ここが日本企業でまだ遅れています。

さて、私 自身が取り組んできたことも含めてお話いたしますと、まさに「コミュニケーション啓発活動」が大事だと思います。 1997 年に資生堂で企業倫理委員会を立ち上げました。

立ち上げた時は、コンプライアンスという言葉は全く通じませんでした。
それから、企業倫理という言葉もまだどこにも言葉にはありませんでした。
研究していく中で、社員とのコミュニケーションということがこれから多くの企業にとって大事になるポイントではない
かという思いが深くなりました。

日本の社会は集団主義社会で、ヘ ルプライン、ホットライン、という言葉については、どうしても告発する、というニュアンスで捉えられます。 ホットラインを組織の中においてもなかなか使えないのです。
だから、組織の外にある窓口(ダイヤル・サービス(株)が運営している内部通報の外部窓口)というのは、大事だと思います。

さて、アメリカの企業ではヘルプライン、ホットラインなどの電話番号がメモ帳や、ポストイットに入っています。
日本でこういう事をやっている企業はまだありません。
つまり、い つも社員が目に触れるということが大事なのです。
そして、悩んだら、困ったら、おかしいなと思ったらいつでも電話をというように、わかりやすい言葉で、社員の立場になった言葉で語りかけなくてはいけないのです。

CSR マネジメントとは

コンプライアンスということがきちんとできた段階で、そのうえでの戦略的な CSR マネジメントとはどういう意味かということです。
まず、当然のことながら、企業として経営理念や企業行動基準、理念にあっているかどうかという適合性を考えなく
てはなりません。 ここで、思い起こしていただきたいのは、社会貢献的責任だけではなく、全ての段階が、ひとつのトータルで戦略的 CSR となるとご理解いただければと思います。

それをふまえて、今度は市場環境の要因、機会と脅威です。
まず今我々が実施しようとしている CSRを、市場が求めているかということを考えなくてはいけません。
どこにチャンスがあるかということです。 例えば、製薬メーカーのエーザイさんがやってるのですが、これからの高齢化社会という市場環境を踏まえて、痴呆症の啓発活動をしていくことは、事業活動を通じた CSR だと思います。

このようなCSRを通じた成長の芽と、一方ではリスク分析をして脅威をきちんとつぶしていかなくてはなりません。
そして、社会が認めているかどうか、の適応性です。

今は働く女性が増えてきました。日本社会の価値観が変わったのです。
女性の働く環境の問題は、実は日本企業で大きな問題になります。
女性の働きやすい職場ということを彼らは大きなテーマにして今やっています。 そして、市場環境の要因、さらに果たして自分の会社の資源、人、もの、カネ、情報、文化でできるのかどうかという分析です。

人的支援は人の体制が出来ている、ではボランティアで支援をしてあげようということを会社の制度としてボランティア休暇などの制度を作るなどです。
そして、金銭的支援、アメックスが自由の女神修復運動をやりました。
これをコーズ・リレーティッド・マーケティングと言います。 慈善運動協賛型のキャンペーンです。
さらには、情報提供、マネジメントのノウハウ、人的支援と同じように人や情報を提供することによって企業が NPO に支援をしましょうというような活動です。

あるいはメセナ活動、企業の文化支援、文化や芸術の支援です。色んな意味で、自社の経営資源、強み弱みを分析して活用するのです。
そして、意思決定の前提与件です。長期性、普遍性、一貫性、競争優位です。そして、選択と集中、どこにどういう資源があるか、自社のコアシナジー、これらを全てクリアするのはなかなか難しいです。

このようなお話をしますと、CSRというのは大きな会社しか出来ないという方がいます。
そうではありません。 全国で色々な会社がCSR ということをやっています。
今、市場の原理として、CSRの活動が動き始めました。
SRI(社会的責任投資)が今大きな動きをしています。

SR購買、生産も含めてというような動きが活発に行われておりまして、その中で SRB、Social Responsible Buying という動きに注目をしています。

このSR購買は社会的責任の購買です。
取引先に対してきちんとそういうことを守ることを条件にする企業が増えてきたということです。
そして消費者にもその動きが出てきています。

ビジョナリーコーポレートブランド調査

3 年前に、ビジョナリーコーポレートブランドといって、消費者が購買行動で社会的責任を果たす企業の製品と、そうでない企業の製品のどちらを買うかという調査をしました。

去年は、日経新聞で SRB、社会的責任の消費行動と価格差の許容範囲の調査をしました。
例えば消費者重視の企業と、そうでない企業、値段が高いほうや安い方、どちらの商品を買うかということです。
約4 割の人が、値段が高くても買うと答えています。

ではどれくらい高ければ買うかという質問をすると、約 94%の人が、1 割高以内だったらほとんど認めますという結果です。

3年前の調査では 72%だったものが、94%まで大きく拡大しています。
つまりこの 3年間で消費者の意識が、社会的責任消費、あるいは購買ということに関して敏感になったなということです。

マルチステークホルダーとの関係

このことを考えると、特にステークホルダーを意識していく必要があります。
大きなポイントは、「コミュニケーション」です。
今までは、こちらのメッセージを相手に伝えるという「コミュニケーション」で した。

それから、今度は「 ダイアログ」です。 つまり、従業員、消費者、地域社会との対話を深めてステークホルダーとのダイアログを CSR レポートに載せていく企業が増えてきました。

今度はそれに対して「エンゲージメント」、積極的に参画をしていくということです。
地域社会の人が企業の活動に参画をする、消費者が参画をする。
企業活動全般において「エンゲージメント」ということは、これから一つの大事なポイントになっていくと思います。

CSR マネジメントの評価モデル

このことも含め、CSR の評価モデルを策定しました 3年前のビジョナリー・コーポレートから発展させまして、学会でステークホルダーマネジメント研究部会というものを立ち上げました。

10社の企業にご協力をいただいて、ステークホルダーから見た企業像ということを調査しました。
自分達の会社を客観的な第三者も含めて色々な人から評価をしてもらうのが、ステークホルダーから見た企業の本当の評価です。

4つのステークホルダー、消費者、従業員、株主・投資家、地域社会に対して、各対象者に質問項目をそれぞれ 36 項目設け、調査しました。

取引先はそれぞれ企業によってことなることから今回は実施していません。
ポイントは、例えば「透明性」です。
消費者がもっとも関心のある透明性は製品の品質や安全性です。
従業員にとっての透明性は自分の評価、会社の評価です。
あるいは人事の仕組みです。 株主・投資家にとっては IR の内容、地域社会にとっては環境が与える負荷や、雇 用に対する透明性です。

このように、それぞれのステークホルダーによって透明性といっても関心領域が違います。
それぞれのステークホルダーに対して聞いていくことが大切です。
会社に対し、消費者から見ているイメージと従業員が評価をしたイメージは全く違います。
つまり、社会に対してそれだけディスクローズされていないということがわかります。

どこにどういう問題があるか、地域社会の人から見たわが社、消費者から見たわが社にはこういう問題があるというように、一つづつ潰していくことによって CSRマネジメントが有効となってまいります。

CSR の規格化

いよいよ ISO が CSR 規格の作成を決定しました。
しかし、第三者認証はしません。
不祥事が起きたら、CSRの規格をやっていますといっても意味がありません。
つまり、結果を求められます。 日本でもおそらく 2007年には本格的なスタートが待っています。
ある程度今から準備して取り組み始めないと、3年後に大変なことになります。
日本企業が抱える共通の課題です。 そのなかで、日本企業が海外から突きつけられている課題は以下の 2 つです。

まずマネジメント能力です。
サーバント・リーダーシップという概念、つまり部下支援のリーダーシップというのがこれから必要になるのではないかと思います。
ほめてくれて、どこが良くてどこが悪いか、成功のイメージをきちんと出す、そんなすばらしいリーダーのもとだったら、やる気になります。

さらには、女性の活力向上、人事・処遇も大きな問題です。
現在は、企業の営業職は女性が増えてきました。
しかし企業に研修に行っても、男性ばかりです。
企業に女性がいないわけではありません。 これが実情です。
3年後CSRが規格化された時に、はずかしくならないように今から考えておかなくてはなりません。

組織の中で、従業員満足を感じられない従業員が顧客満足を提供できるわけがありません。
男性・女性の区別なし、楽しい職場、いじめの無い職場、快適な職場を通して、従 業員の満足が得られることは、CSRの原動力にもつながるのです。

それは、持続可能な発展ということで、企業そのものの発展にもつながります。
顧客という概念は、消 費者だけでなく、取引先も納入業者もそうです。
そういった価値観を持ってビジネスをしなくてはいけません。

地域社会もそうです。 まさにお客さまです。 このようなことを考えると、顧客満足の概念は広いです。
単なるユーザーだけではありません。
従業員満足を果たせれば顧客満足にもつながる。
それが、最終的には株主の満足にもつながるのです。

最後に

戦略的 CSR、まさに CSR というのはその会社の独自の領域があると思います。

それを事業領域の中で、あるいは事業領域外でということもあるかもしれません。
いずれにせよ、企業がやるからには慈善事業ではありません。 その中で、どこにどう投資をしていくかというのを、戦略的な3つの視点で考えなくてはなりません。

その前提は、ベースにコンプライアンスがきちんとできていることが大前提になっているということは覚えていてほしいと思います。
そのような組織を作っていくことが、企業の経営に携わるわれわれに与えられた役割でもあるのかなという気がしています。

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