【第24回CSRセミナー詳細】大学をめぐる倫理的課題と対策

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「大学をめぐる倫理的課題と対策」

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「大学をめぐる倫理的課題と対策」
慶應義塾大学 商学部准教授
梅津 光弘 氏

倫理的責任が問われる時代

 倫理的な責任が企業を中心に厳しく問われる時代が始まっております。学問の分野では、私がアメリカにいた1980年代頃、学者が企業倫理を話し始め、時同じくして法務関係の弁護士が中心となってコンプライアンスという概念ができました。アメリカは当時ロナルドレーガン大統領が大幅な規制緩和をやりました。アメリカ流の企業倫理は、規制緩和と表裏一体となった事柄であって規制を強化するような理念の元で行なうことではなく、むしろひとつひとつのビジネスが、自発的に自らを律してやっていくという理念であると習いました。その背景には成熟した社会、つまり見識と常識と教養を持った人たちが社会に出てきていて、もう政府が規制を強める時代は終焉を迎えているということだと思うのです。
 同様に大学においても、自由を謳歌しながらも自覚して行動することが大事であり、それが成熟した大人の社会だと思います。そういったことから、さまざまなところで「倫理」というものが問われるようになってきたと思います。かつ、グローバリゼーション、国際化の波が訪れていることも「倫理」を問われることになった大きな理由です。国際化の時代にあっては、国際的に通用する規律を内面化した人になってもらわなければ困ります。そのために大学もそこを強調していくことが重要なのです。
 よく学生に「倫理と法はどう違うのですか」と問われます。私は、「法律というのは強制力のある規範であり、強制力の源は国家権力を背景にしている。そのため国によって法体系や強制力の発動が違う。一方、倫理性、道義性というのは、法律以上に厳しいものを求められている。強制力はなく、刑罰もないが、社会から‘道義に反する’と批判を受けることほど厳しいことはない。ある意味、無限責任に近いものを問われており、そこに標準をあわせて行動をとるようにしていくことが懸命ではないか」と述べて参りました。こういったことから、「官から民へ」、同時に「行政による養成、指導中心から、ルールを決めて自由にやってもらい、ルールを破ったら司法へ」という考え方が背景に出てきているのだと思います。

大学をめぐる不祥事

 そういったことから「○○倫理」というものが乱立していています。その中で専門職の倫理というと大学の先生も専門職であり、私たちは非常に公正中立にやっていかなければなりません。大学の研究者には社会から、専門家、学識経験者としての責任が求められているといえます。ところが昨今、大学をめぐる不祥事というものが絶えません。科学研究費等の不正使用、論文の剽窃や研究データの改ざん、利益相反や責務相反、研究内容そのものをめぐる倫理問題、入試や進級、卒業等の学事をめぐる不祥事、業務発注等の運営管理をめぐる不祥事、法人会計をめぐる不祥事、採用や昇進、ハラスメント等の人事、労務をめぐる不祥事などがたくさんあります。大学という組織は、研究、教育、医療などを行なう非営利組織であり、そのことの故に企業とは異なった性格の組織であります。教授は特権的な地位にあり、研究や言論の自由も与えられています。そして学問の独立性。そういったところから大学の自治というものが大学内で強力に意識されています。教授会は大変な権限をもっていて、学長が決めたことも教授会がひっくり返す決議をすることもあるのです。このように大学には企業等とは性格を異にする組織上の特性がありますが、だからといって世間に申し開きができないようなずさんな管理も現代においては許されなくなりました。

マネージすべき利益相反

 大学をめぐる倫理的課題にはいろいろありますが、今回は利益相反についてお話しします。これは産官学連携が活発化することによって、その連携に関連するさまざまなステークホルダー間に生ずる利害や責務のジレンマ状態、つまり研究者の活動が公的存在としての大学の役割より、連携活動から得られる利害を優先していると見られると、社会的糾弾が起こりうるということです。大学として説明責任を果たし、公明正大な産官学連携が推進されなければなりません。利益相反状態は日常的に起こりうる状態であり、そのことが即、法令違反とは言えないというのが難しいところです。そのため適切な理解と管理、体制の構築が必要です。主体的、自立的に体制と態勢を構築すること、学問の自由と独立、大学のIntegrityの確立が重要なのです。

大学における内部統制

 私がアメリカの大学で教えていたときにある日突然学部長から「あなたは1年間を振り返って学生との間でセクシャルハラスメントと言われるようなことはなかったか、注意深く点検、反省をし、絶対になかったと誓えるのであればサインして返信を」という手紙が届きました。25年くらい前の話です。後から分かった事ですが、これは毎年全教員に配布される誓約書だったのです。日本の大学ではそのような誓約書など聞いたことがありません。ただ、教授は学生や大学院生との関係には非常に気をつけなければなりません。学問への熱意と教授への熱意が擬似恋愛の起きやすい状況をうむからです。ハラスメントを起こさないためには、意識と制度の両面からのアプローチと、大学における内部統制が必要なのです。
 内部統制については、企業には日本版SOX法(金融商品取引法の内部統制報告書の提出の義務に関する部分)があり、上場企業には義務化されています。内部統制とは、財務報告の適正さを担保する組織内制度の確立と、監査制度の充実、説明責任の明確化ですが、大学ではなかなかできていません。大学の場合、セクハラホットラインというのは充実しているのですが、研究や業務に関するホットラインというのはほとんどないと思います。モニタリングや研修も不十分です。

企業倫理における制度化のポイントと今求められる大学倫理

企業倫理における制度化のポイントは、以下のとおりです。
・企業倫理基準、指針の制定
・企業内倫理担当責任者の任命
・企業内倫理担当部署の設置
・相談窓口の設置と運用
・モニタリングの実施
・効果的な企業倫理の教育研修

そして大学においても、
・倫理体制と態勢の構築
・学部における倫理規定の確立
・研究倫理部署の設置
・相談窓口の設置
・FD(ファカルティ・ディベロップメント/大学教員の教育能力を高めるための実践的方法)の推進が
 重要であり、今求められているのです。

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